なぜマラソンは「優勝候補」が勝てないのか? 実業団ランナーと市民ランナーの違いを考えてみた

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先週の北海道マラソンを見ていて、以前から感じていたことを改めて考えてみました。

それは、

「トップレベルの選手が集まるマラソン大会ほど、優勝候補がそのまま勝つのは難しいのではないか?」

ということです。

もちろん、これは私個人の印象です。

しかし、マラソンを見ていると「この選手が本命だろう」と思っていた選手が苦戦し、予想していなかった選手が一気に上位に入ってくることが少なくありません。

では、なぜマラソンでは、このようなことが起こるのでしょうか?

マラソンは「一発勝負」だからこそ難しい

マラソンは、42.195kmを走る競技です。

当たり前のことですが、短距離走のように「その日の調子が少し悪かったから、もう一度走ってみよう」というわけにはいきません。

その大会が、その選手にとっての勝負の一日になります。

実業団クラスのトップ選手になると、年間に何度もフルマラソンを走るわけではありません。

年2回程度のマラソンに照準を合わせることも多く、そこにピークを持っていくこと自体が非常に難しいのではないでしょうか。

しかも、マラソンは自分だけで完結する競技ではありません。

気温、湿度、風、雨などの気象条件。

コースの特徴。

レース展開。

一緒に走る選手のペース。

そして、直前の体調や故障。

こうしたさまざまな要素が結果に影響します。

どれだけ練習を積んでいても、当日に100%の状態でスタートラインに立てるとは限りません。

だからこそ、マラソンは本当に難しい競技なのだと思います。

MGCでも「本命」が勝つとは限らない

このことを考えると、MGCのような大きな大会が非常に興味深く見えてきます。

MGCは、オリンピック代表を決めるための非常に重要なレースです。

当然、出場する選手は日本のトップクラス。

その中でも実績のある選手や、事前に注目されている選手が「優勝候補」として名前を挙げられます。

ところが、実際のレースでは、必ずしも事前の評価通りにはなりません。

言い方は少し失礼かもしれませんが、「伏兵」と思われていた選手が一気に上位に食い込むことが多い印象です。

これも、マラソンという競技の面白さではないでしょうか。

「一番強い選手が勝つ」のではなく、

「その日の42.195kmを一番うまく走った選手が勝つ」

とも言えるのかもしれません。

オリンピック後もトップで居続ける難しさ

さらに私が凄いと思うのは、オリンピックなど大きな大会に出場した選手が、その後も長くトップレベルで走り続けることが難しいと感じます。

大きな目標に向けて何年も努力し、ピークを合わせていく。

そして、その後も再びモチベーションを保ちながら、故障を避け、トレーニングを継続する。

これは簡単なことではないでしょう。

ただ一方で、長い期間トップ選手として居続ける選手もいます。

例えば、大迫傑選手や新谷仁美選手のように、年齢を重ねてもトップレベルで結果を残し続ける選手を見ると、

「トップになること」以上に「トップで居続けること」の方が難しいのではないか

と感じます。

一度だけ大きな結果を出すことと、何年にもわたって結果を出し続けること。

同じ「強い選手」でも、その凄さは少し違うのかもしれません。

プロ野球と比べると、マラソンの厳しさがよく分かる

ここで、プロ野球と比較してみると面白いと思います。

プロ野球の選手は、年間100試合以上に出場することがあります。

当然、シーズン中にはスランプもあります。

大谷翔平選手のようなトップ選手であっても、すべての試合で結果を出し続けるわけではありません。

それでも、長いシーズンを通して結果を残せば、「素晴らしい選手」と評価されます。

ところが、マラソンはそうはいきません。

もし自分のスランプと、目標としていた大会の日が重なってしまったら……。

それだけで、その大会では結果を残せない可能性があります。

つまりマラソンは、

「調子が悪い日を別の試合で取り返す」

ということが非常に難しい競技なのです。

これを考えると、毎回のように上位に入るトップランナーが、どれだけ凄いことなのかが分かります。

実業団ランナーと市民ランナーの違いは?

一方で、市民ランナーを見ていると少し違った印象を受けることがあります。

市民マラソンで上位に入るようなランナーは、何度見ても上位にいることが多いように感じます。

もちろん、これも私の個人的な印象です。

では、なぜなのでしょうか。

私が考える理由の一つは、実業団のトップランナーは、すでに自分の限界近くまでトレーニングしているからではないか、ということです。

限界に近いところまで身体を追い込んでいるからこそ、ほんの少しの体調不良、疲労、故障、調整ミスなどがパフォーマンスに影響する。

さらに、トップ選手には「結果を出さなければならない」というプレッシャーもあります。

周囲からの期待。

チームからの期待。

自分自身の期待。

こうした精神的な負担も、少なからず影響するのではないでしょうか。

もちろん、これはあくまで私の推測です。

「勝つこと」より「勝ち続けること」が難しい

マラソンを見ていると、優勝という結果だけに目が行きがちです。

しかし、長くトップで走り続ける選手を見ると、それ以上に凄いことをしているのではないかと思います。

故障を防ぎながら練習を続ける。

大会に合わせてコンディションを整える。

気象条件に対応する。

レース展開を読む。

そして、結果が出なかったときには、また次の目標に向けて立て直す。

マラソンは「速く走る」だけではなく、身体と心を長い期間にわたって管理する競技なのかもしれません。

だからこそ、トップ選手たちのレースを見るときには、優勝した選手だけでなく、何年にもわたって第一線で走り続けている選手にも注目してみたいと思います。

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