過度な運動は健康に悪い? 月500km走るランナーが実体験から考えるメリットとリスク

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「運動は健康に良い。」

これは誰もが知っている事実だ。厚生労働省も世界保健機関(WHO)も、定期的な運動を推奨している。

しかし、よく考えてみると「適度な運動」が推奨されることはあっても、「過度な運動」が推奨されることはほとんどない。

では、運動しない人と比べた場合、過度な運動をする人は健康なのだろうか。

私は月に500kmほど走る。

週2回以上はインターバル走やペース走、ロング走を行い、心肺機能を限界近くまで追い込む。

走っている最中はゼイゼイ、ハアハアと息が上がり、翌日には疲労が残ることもある。

更にレースの時は、全力で自身の体力の限界以上まで追い込んでタイムを狙っている。

一般的な基準から見れば、これは「適度な運動」の範囲を超えているだろう。

それでも私は走り続けている。

そして正直に言うと、運動していなかった頃より今の方が圧倒的に健康だと感じている。

風邪をひくことはほとんどない。

多少体調を崩しても一晩寝れば回復する。

日常生活で疲れを感じることも少ない。

もちろん、これは私個人の体験に過ぎない。

それでも「過度な運動は本当に健康に悪いのか」という疑問は、ずっと持ち続けている。

適度な運動とは何か

まず確認したいのは、「適度」とは意外に少ないということだ。

WHOは成人に対し、週150〜300分程度の中強度運動、または75〜150分程度の高強度運動を推奨している。

例えば、

  • 30分のジョギングを週5回
  • 1時間のウォーキングを週3〜5回

程度で十分に健康効果が得られるとされる。

月500km走るランナーの場合、週10〜15時間以上走ることも珍しくない。推奨量の数倍である。

つまり、市民ランナーの中には「健康のため」ではなく、すでに「競技としての運動」をしている人が少なくない。

私自身は運動していなかった頃より健康になった

ここで少し個人的な話をしたい。

世間では「運動のし過ぎは体に悪い」と言われることがある。

しかし私自身の体感では、運動量を増やしてからの方が明らかに体調が良い。

  • 風邪をひくことがほとんどない
  • 疲労からの回復が早い
  • 日中の集中力が高い
  • 体力的な不安が少ない

そして、ランニングを本格的に始めてからはインフルエンザに感染した記憶がない。

もちろん、これが運動のおかげだと断言することはできない。

たまたま感染機会が少なかった可能性もあるし、ワクチンや生活習慣など他の要因もあるだろう。

それでも、運動していなかった頃と比べると体調を崩す回数は明らかに減ったと感じている。

もちろん、これは科学的な証明ではない。

もともとの体質や生活習慣も関係しているだろう。

それでも、「過度な運動=不健康」という単純な図式では説明できないのも事実だ。

過度な運動はどこからなのか

では、どこからが過度な運動なのだろうか。

実は明確な線引きはない。

しかし、次のような指標は参考になる。

心拍数

最大心拍数の85〜95%以上で行う運動は高強度に分類される。

例えば50歳なら、

220−50=170

最大心拍数は約170拍。

その85%は145拍程度になる。

インターバル走や5kmレースペースの練習では150〜170拍近くまで上がることもある。

こうした練習を頻繁に行う場合、身体への負荷はかなり大きい。

運動時間

持久系スポーツでは、

  • 週10時間以上
  • 月300〜400km以上

になると、一般的な健康維持レベルを大きく超える。

もちろん個人差はあるが、月500kmは十分に「アスリート寄り」の運動量だろう。

回復状況

実は最も重要なのは距離でも心拍数でもない。

  • 朝起きても疲れが抜けない
  • 安静時心拍数が上昇する
  • 練習しても記録が伸びない
  • 常にだるい

こうした状態が続くなら、身体が回復しきれていない可能性が高い。

オーバートレーニング症候群の入り口かもしれない。

コロナ感染から考える運動と健康

感染症についても興味深い経験がある。

インフルエンザには長年感染していないものの、コロナについては1回だけ発症したことがある。

ただし、実際には何度感染していたのか分からない。

無症状だっただけで、知らないうちに感染していた可能性も十分ある。

現在のコロナは症状が軽いケースも多く、

「感染していない」

のではなく、

「感染したけれど気付かなかった」

だけかもしれない。

もちろん、運動しているから感染しないとは思わない。

しかし、感染後の回復力や体力的な余裕という意味では、日頃の運動習慣がプラスに働いている可能性は感じている。

それでも運動しないよりは良いのか

ここが最も気になるところだろう。

現在の研究では、多くの場合、

「過度な運動でも、まったく運動しないよりは健康的」

と考えられている。

心肺機能の高さは寿命や健康寿命と強く関係している。

実際、長距離ランナーは一般人口より死亡率が低いという研究も多い。

ただし、健康効果は右肩上がりではない。

運動量が増えるほど効果が大きくなるわけではなく、ある地点から効果は頭打ちになる。

さらに極端な高負荷を長期間続けると、

  • 故障
  • 免疫低下
  • 心房細動など一部の不整脈リスク増加

が指摘されている。

つまり、

「健康のためなら適度で十分」

なのである。

健康のために走るのか、走りたいから走るのか

ここで重要な問いがある。

なぜ走るのか。

健康だけが目的なら、月500kmは必要ない。

月100〜200km程度でも十分な健康効果は得られる。

しかし、多くのランナーは健康のためだけに走っているわけではない。

自己ベスト更新。

レースでの達成感。

限界への挑戦。

走ることそのものの楽しさ。

そうした価値があるから走る。

登山家が「そこに山があるから登る」と言うように、ランナーは「そこに道があるから走る」。

合理的な健康効果だけでは説明できない世界がある。

それでも私は走り続ける

月500km。

週2回以上の高強度練習。

客観的に見れば、健康維持の範囲を超えているだろう。

健康だけを考えるなら、私はもっと少ない距離を走るべきなのかもしれない。

それでも、運動していなかった頃の自分と今の自分を比べれば、答えは明らかだ。

私は今の方が元気で、今の方が毎日を楽しめている。

過度な運動にはリスクがある。

故障もする。

疲労も溜まる。

しかし、運動しない人生と比べれば、私にとって走る人生の方がずっと豊かだ。

健康とは単に病気がない状態ではない。

好きなことに夢中になれることも、人生の大切な健康の一部だと思う。

だから私は、過度な運動が必ずしも健康に良いとは言わない。

しかし、自分が納得して選んだ過度な運動なら、それは健康という尺度だけでは測れない価値を持つ。

明日もきっと走るだろう。

ゼイゼイ、ハアハア言いながら。

それでも走る。

なぜなら、走りたいからだ。

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